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目の前に置かれた携帯が光る。
ディスプレイには『和馬』と表示されている。
嬉しいような、もどかしいような、それでいて電話に出たくない。
怖いんだ。
｢…あ。｣
握りしめた携帯の着信が止まる。
少し安心している自分がいる。
｢あっ。｣
再び携帯が鳴り、反射的に通話ボタンを押した。
『一回無視するとかマジないわぁ。』
電話の向こうの彼は、怒っているような口調をしているものの笑っている。
何も言えずに私は黙っている。
『今から家行くから準備しとけよ。じゃ。』
彼は用件だけを言うと電話を切った。
私が彼にアドレスを教えたわけではない。
彼が無理矢理交換したんだ。
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