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震える手が、鈴蘭を微かに揺らす。
蛍の灯りが揺れ、影も揺れる。
満月の明かりと蛍の灯り。
ゆらゆらと揺れる影に、怯えながらも歩く。
恐る恐る一歩、一歩、森の中に歩き出した少女の前を塞ぐように木の枝や草が行く手を遮る。
まるで木々や草達が生きているかのように、少女の前を遮り、足に絡み付く。
それを掻き分け前に進むので、歩みはゆっくりとなる。
歩きながら少女は、片想いの相手のことを自然と思い浮かべていた。
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