少佐と少尉。

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極めて正直に一式翁。一式陸攻こと一式陸上攻撃機が帝国海軍に正式採用されたのは昭和16年(1941年)。皇紀2601年の事である。 一式翁が生まれたのはそれより25年も前の皇紀2576年であるから、一式翁の両親が 狙って命名した という事は全く有り得ないのだ。 「そうでありましょうなあ… ところで少尉。攻撃機と爆撃機とでは、どこがどう違うのでありますかなっ?」 前から気になっていたのか、興味深そうに少佐。 すると一式翁は、極めて滑らかに答えるのであった。伊達に百年近く生きている訳ではないのだ。 「帝国海軍では、魚雷も爆弾も搭載可能な機を攻撃機と、爆弾のみ搭載可能な機を爆撃機と、それぞれ呼称していました。 代表的な攻撃機としては97式艦攻と天山艦攻が、代表的な爆撃機としては99式艦爆がそれぞれ挙げられます」 「ふむふむ…」 頷きながら少佐。そしてニコリと笑いながら口を開く。
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