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一限目の講義の部屋に行くと後ろの方の席が詰まっていて前の方の席が空いていたので僕は当たり前の様に最前列の席に座った。
人の多い所は苦手だ、それが知らない人なら尚の更だ。
ふと時計を見ると講義まで後十分以上あった、後ろの方を見ると二、三人のグループでペラペラ喋っている奴ばかりだ。
僕は焦っていた。
そろそろ気軽に話せる友達を持たなければマズいのではないだろうか?
そんな事を考えていると急に右肩を軽く叩かれた。
慌ててそっちを見ると見知らぬ金髪が親しげに片手を上げて笑みを浮かべていた。
ソイツは目が細い訳ではないが一重瞼のせいか何か睨んでいるかの様な凄みがあった、不規則に跳ねている髪の毛を弄くりながら僕に話しかけてきた。
「よう、久し振りだな」
はてこんな奴と会った事があっただろうか?
僕は遠慮がちに口を開いた。
「人違いじゃないかな? 僕の名前は山崎 辰之だ」
金髪は相変わらず笑みを絶やさず僕を見ていた。
「俺は初対面の人間に話し掛ける時は必ずこう言うんだ、これは昔の心理学者ヨダソウの考案した初対面の人間と早くに打ち解ける方法でな、簡単な心理テストも兼ねてるんだ」
「は……はぁ」
急に饒舌にペラペラと喋り出した金髪に戸惑い僕は呆気に取られた顔で気の抜けた相槌を打って首を頷ずかせた。
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