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三限目が始まると鬼原は最前列で小説を読んでいた。
講義をしている先生は恨めしそうな目で数回鬼原を睨んでいた。
「お前なんでサボるのに最前列座るんだよ!」
先生がホワイトボードを見ている隙に小さい声で僕は鬼原に尋ねた。
「いやだってあのハゲの話退屈じゃん、退屈だから考え事するじゃん。考え事してたら本の続きが気になってさ」
気のせいだと思いたいがハゲと言うワードが出た瞬間先生の体がピクリと反応した。
講義が終わると僕と鬼原は駅まで一緒に話をしながら帰った。
鬼原は駅の近くで下宿しているらしい。
「やっぱりな、大学生は一人暮らしした方が良いぜ。シンちゃんも早くバイトして金貯めて下宿するこったな」
どこか自慢気に鬼原は下宿を薦めてきた。
「いや僕は家もそこまで遠くないから下宿する意味あんまりないよ」
僕がそう言うと鬼原はニヤニヤしながら少しだけ声のボリュームを落とした。
「女連れ込み放題だぜ」
僕が呆れた様な目で鬼原を見ていると駅とは別の方向へ歩いていった、あっちが下宿先なのだろう。
「じゃあなシンちゃん、また明日だ」
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