3話 始祖の血を継ぐ者――水龍の歌

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「ラティアが、呪いを与える…?!」 【その立証者が、俺という訳だ。…解ったな】  愕然とした表情のまま固まったアランに、テュールは静かに面伏せた。  両者ともに痛々しい沈黙が蟠る。だが、それはすぐに破られた。 【話はそれだけだ。もうじきエイラも戻る…支度をしておけよ】 「……ああ」 【――――悩むことはない。エイラに取って、お前は必要な存在だ…こんな、俺なんかよりもな】 「えっ!?」  蒼い月は既に中天を過ぎ、生温かい風がアランの頬を撫でつけていく。  擦れ違った筈のテュールの姿は、もうどこにも見当たらなくなっていた。 「いない…」  アランは、埋み火になった焚火に砂を掛けて消す。  もうその瞳の何処にも、迷いはなかった。
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