第0話《王の追放》

5/7

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「死んだか?いや、まだちょっと生きてるよな?オウビート。」 オウビートの砕けた装甲の破片を踏みしめオウビートの側に立つランゴバスター。 ランゴバスターの視線はオウビートの微かに動いた右手に向いた。まだ息があるのを確認すると空になった弾倉を排出する。 対象完全に殺すために順序をこなしていく。 「………す…」 「言い残すことがあるならさっさと言えよ。聞いてやらんこともないが。」 オウビートが掠れた声で何事か呟く。ランゴバスターにそんな遺言なんて聞くつもりはなく、インジェクションガンの新しい弾倉を交換し、レバーを引き弾を薬室に送り込む。 手筈は整い、銃口をオウビートの頭に向け、再度問いかける。 「はい、時間切れ。本当に遺言は無いんだな?」 「俺は…」 「ん?速く言え」 「お前達を一人残らず殺してやる…!全員だッ!裏切った貴様らを絶対に許しはしないッ!」 「そして…一番先に裏切った貴様をッ!一番速くッ!一番惨たらしくッ!殺してやるッ!」 銃口を向けられたままオウビートはランゴバスターを憎悪の瞳で睨み付けながら叫ぶ。その気迫…殺気に、ランゴバスターの身体中の毛が総立ち、冷や汗が吹き出す。 (殺される!?い、いや、こいつはもう死に体だ…撃てば死ぬ!撃て、殺せ!) ランゴバスターが銃口を向けなおす。オウビートは顔を背けることもなくランゴバスターを睨み付けていた。 「…お前はここで死ぬんだよ…!」 「殺して…やるから…な」 引き金を引き、放たれた弾丸はオウビートの頭部の角の残りを砕き、眉間に消えた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加