第二夜・正義と信念

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「龍馬この街は邪な空気で澱んでいる…流石の俺もこの澱みきった思念の中じゃホラーの気配を感じ取るのは骨が折れるぜ」 ザビの言う通りこの街は人間の陰我が渦巻いている。 暴力・物欲・嫉妬・怨念・憎悪・何処でホラーが現れてもおかしくない状態だ。 龍馬が裏通りを歩いていると、目の前でヤクザとマフィアが睨み合いを続けている。 漲る殺気、まさに一触即発とはこの事である。 龍馬はその睨み合いの最中に割って入ると、「何だお前は?こいつ等の仲間か?あ?ぶっ殺されたいんか?」と体格の良いハゲ頭のヤクザにいきなり胸倉を掴まれた。 しかし龍馬はその腕を掴み上げ逆に捻り、その場にねじ伏せた。 「ザビ!」 「龍馬、こいつじゃないな、犯罪者だろうがこいつからはホラーの邪気を感じない」 龍馬がハゲ頭の腕を離すと、ヤクザの仲間は「兄貴に何しやがる!」と叫びながら襲い掛かるが、あっという間に返り討ちに遭いその場に倒れこんだ。 ダウンしているヤクザ達に魔導火を翳すが誰一人反応が無い。 「こいつ等じゃないか…」 龍馬が呟きながらマフィア達の方を向くと、マフィアの一人が片言の日本語で「オマエ、ケイサツカ?」と話しかけるが、龍馬は無言のまま彼等全員に魔導火を翳す。 一人…二人…三人…魔導火の炎がマフィア達の顔を照らす 五人目のマフィアの前で魔導火が反応を示した。 マフィアの目が獣の様な目になると、指の爪が剥がれると鋭い爪に生え変わり、涎を垂らしながら奇声をあげ龍馬に襲い掛かる! 「ドウシタ!チャン!ナンノマネダ?」 突然ホラーに変貌した仲間にマフィアのリーダーが取り押さえようとするが、片腕で彼を跳ね除け龍馬に牙を剥き飛びかかった次の瞬間! 「チェストォォォ!」 龍馬の叫び声が響き、ホラーに変貌したマフィアの身体が一刀両断に分断され消え去った。 「こいつはただのホラーの様だな」 龍馬が電光丸を鞘に収めると、マフィア達は消音装置の着いた拳銃を取り出し「ヨクモチャンヲコロシタナ!」と言いながら龍馬を取り囲む。 リーダーが撃鉄を起した瞬間、龍馬の身体がヒラリと舞うと、電光丸の鞘で一気になぎ倒した。 「龍馬、ちゃんと手加減したか?」 「ああ、ちゃんと手加減した…それより先を急ぐぞ」 龍馬は気絶したヤクザとマフィアをその場に残して路地裏を歩き続けた。
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