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「なんで?そりゃ街のダニの駆除だよ。駆除したら俺が頭から喰うんだよ」
西野は意識が朦朧とする犬山の前で暴力団構成員の死体を掴み上げると、顎を外し吸い込む様にその屍を頭から丸呑みにした。
「社会のダニとは言っても戦う人間の血肉は乙な味だ」
西野がニヤリと笑みを浮かべながら舌舐めずりし、次の屍を掴み上げた瞬間、龍馬が怒りの形相で斬りかかる。
「貴様ぁぁぁ!」
龍馬が電光丸を振り上げると同時に、西野の左腕が爬虫類の様な鱗の生えたグレネードランチャーを思わせる形に変化し、龍馬へと砲撃を加えた。
龍馬は砲弾を躱し、背後で爆発した次の瞬間、爆炎の中からワイヤーが飛び出し龍馬に絡み付いた!
細身のワイヤーが鍛え抜いた龍馬の肉体に食い込み、身動き一つ取れなくなってしまった。
「不覚!」
「龍馬早く脱出しろ!」
龍馬は必死にワイヤーから脱出を試みるが、もがけばもがくほどワイヤーが食い込み体力を奪って行く。
西野はニヤニヤ笑いながら「グッバイ!間抜けな魔戒騎士」と呟きながら砲身を龍馬へと向け、今まさにトドメの一撃を加え様とした刹那、一発の銃声が轟くと西野の眉間に弾丸が命中し、西野はその場にゆっくりと倒れこんだ。
「まさか同僚のエリート刑事が殺人鬼だったとはな、しかも怪物になって…まるでB級ホラー映画の世界だな」
銃を発砲したのは老刑事海野だった。
海野はホルスターに拳銃を収めながら瀕死の犬山の元に駆け寄ると、携帯電話で救急車を手配すると「ポチ、もう暫くの辛抱だからな!絶対死ぬんじゃねぇぞ!」と意識を失っている犬山に話しかける。
「オイ!早く逃げろ!奴はまだ生きている!」
「どんな化け物でも頭を撃ち抜かれたら一巻の終わりだ。それよりお前さん何者なんだ?後から事情聴取してもらうからな」
ワイヤーに絡まれた龍馬が海野に逃げる様に勧めるが、海野は鼻で笑いながら耳を傾けない。
そんな海野の背後で眉間を撃ち抜かれた西野がゆっくりと立ち上がり薄ら笑いを浮かべていた。
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