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グシャ…鈍い音が響き、鮮血が床に飛び散った。
「きゃはは!お爺さん可哀想!」
「あは!タッちゃんやり過ぎ!」
娘達は老人が殴られ流血したのだと思ったが、鮮血を噴き出していたのは男の拳であった。
老人の顔面に叩き込まれた拳だが、男の拳が潰れひしゃげてしまったのである。
「ひぎぃやぁぁ!いてぇ!いてぇよ!」
男は激痛に悲鳴を上げのたうちまわっていると、次の瞬間男の頭部が宙を舞い床にゴロンと転がる。
老人の舌が伸び、鞭の様にしなり男の首に食い込み一気に切断したのだ。
「いやあぁぁぁああぁぁぁあ!」
床に無残に転がる男の頭部と、頭部を失い踏み潰された虫の様に痙攣しながら鮮血を噴き出す身体を見た娘達は悲鳴を上げ逃げだした。
「おやおや?約束どおり一人十万円あげるよ?だから…………喰わせろ!」
老人は逃げる二人の方を見るや、蛙の様な長い舌を飛ばし、一人の娘を捕まえた。
「ミキ!お願い助けて!ウチ等友達やろ?だから!」
舌で巻き付かれた娘は助けを乞うが、ミキと呼ばれた娘は泣き叫びながら我先に逃げて行った。
「ケケケ、娘!友達は選ぼうな!」
老人が舌を引き戻すと、口が鮫の如く開き「ミキ!この裏切り者!お前なんか地獄に墜ちろ!」と泣き叫ぶ娘を頭から丸呑みにし巨大な口内でゴリゴリと咀嚼し呑み込んだ。
「まあまあの味だ、さてもう一人を追い掛けるとしますかな?ケケケ!」
異形の姿から元の姿に戻った老人はニヤリと笑みを浮かべ、窓ガラスを突き破って路地裏を逃げる娘の眼前に現れた。
娘は悲鳴を上げ逆方向に無理矢理向きを変え走り出した。
その様子を見ながら老人は「命がけの鬼ごっこの始まりだ」と呟きながら娘の後を追い掛けた。
ここで時系列を元に戻そう。
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