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予知夢
「…………ん?」
気が付くと、俺は真っ白な世界で一人ポツンと立ち尽くしていた。
「……。」
…いや、一人ではなかった。
目の前に、着物を着た一人の美しい女性がいて、美しい瞳でじっとこちらを見ている。
「……。」
…本当にじっと見ている、まるで人形のように。
…そして何より、キマズイ、かつ照れる。
こんな今まで見たことのない美人に約5分ほど見つめつづけられては…。
「…西園寺 紳(さいおんじ しん)様…。」
「は…はい!?」
さすがに何か話そうかと思った矢先、美女が口を開いた。
透き通るような美しい声で…不意をつかれた俺に構うことなく、無表情で。
「間もなく、人間界に大きな禍(わざわい)が訪れます。世界を滅ぼす…おぞましい出来事が…。
……その時世界を救えるのは、貴方と、貴方に選ばれし…式神だけなのです。」
「は、はぁ…。」
何を言っているのだろうと思わずにはいられないセリフに、少々戸惑う俺。
「えっと……これは初期のドラ○エのオープニングか何かですか…?」
「貴方とは、また話をすることになるでしょう。」
「…………。」
スルーだ、完全スルーだ。
…そんな感じでショックを受けている俺に構わず美女は話を続ける。
「その時まで、先ほど言ったことをお忘れになりませぬよう…お願いしますね。」
スゥ…ッ
「……!!」
そう言うと美女はニコリと微笑み、ゆっくりと消えていった。
「おい!ちょっ…と………。」
…そして、俺の意識も…終に消えた……。
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