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生まれ育ったこの街に二度と帰ってくることはないと思っていたあの日。
あの日から10年以上もたった今、ここにいるのが信じられないようだった。
駅前はすっかり変わっていたが、家に近づくにつれ昔のままの街が残っており、昔遊んだ公園があるのに驚きながらそれを懐かしい目で眺める。
『親は大切にしないといけないよ』
いつしか武史に言われた言葉がしばらく前から頭の中に回っていた。
『俺は早くに両親亡くしてるから、親孝行したいときに親がいなかった。香澄と一緒になると君のご両親も俺の両親になる。すごく楽しみだ。本当の両親になにもできなかった分、香澄のご両親にいっぱい親孝行したいな』
そんな会話を武史の胸に抱かれ聞いた。
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