終章 ~約束・三度目の正直~

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病気は確実に妻の体を蝕んでいたのだ。 それから3ヶ月、妻は倒れた直後から急激に体力を失い始め、一ヶ月前からはベッドから起き上がれなくなった。 「桜が咲いたら見に行こう。穴場を知ってるんだ」 ベッドから起き上がれなくなった数日後、懸命に考えた『ご褒美』を口にした。 すると妻は「楽しみにしてる」と笑ってくれた。 その笑顔に俺も笑顔を返し妻の頭を優しく撫でる。 するといつも綺麗に染めてあった髪の根元が少し白くなってきているのに気が付いた。 いつも身なりに気を付けていた妻はこれを見たら嫌がるだろう。 俺の視線に妻は「何?」という顔で見てきた。 「ん?桜、楽しみだなって。弁当作ってくれるんだろ?」 俺の言葉に妻が笑う。その笑顔のおでこにキスをすると妻は照れたようにまた笑った。 見慣れた俺の大好きな笑顔で……。
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