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「週末には桜が満開だって。見に行く約束だろ?はやく目を覚まして行こう……」
開けた窓からは春の風。俺はその風と共に、1週間前からずっと眠り続けたままの妻の頬を優しく撫でた。
すると意識のないはずの妻が微笑んだ気がした。
一度瞬きをしもう一度妻をみる。しかし目の前顔は普通の顔だった。
が、さっきよりも頬に赤みがさしているようだった。
「そうか、楽しみだよな。でもご褒美なんだから治さないと行けないぞ」
俺はわざと軽い言い方をしてそっと頬を撫でてやる。
その頬はとても暖かく柔らかくて……。
堪えきれなくなった涙が溢れだし頬を伝った。
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