終章 ~約束・三度目の正直~

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数日後、妻は最期の時を迎えていた。 徐々に浅くなっていく妻の呼吸。俺はその体を優しく抱き締め続ける。 そして……。 医師が妻の手首を取り、次に胸元から取り出したライトで確認し、腕時計に目をやり時刻を確認する。 医師は静かに妻に永遠の休息が来たことを告げた。 俺は小さく頷き、まだ温かい体を抱いたまま妻の髪を頬を優しくなでた。 「香澄、香澄。俺、幸せだったよ、……愛しているよ。……今までありがとう。……ゆっくり休むんだよ」 諭は約束どおり香澄の最期を看取った。 腕の中の香澄は微笑んでいるかのような、それはそれは穏やかな顔をしていた。 くしくもその日は桜の満開宣言が出された日だった。
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