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散り始めた桜の花びらが舞う。
その花びらが弁当の中へ数枚舞い落ちた。
「盛りを過ぎちゃったけどきれいだな……」
あれから一年。俺は桜を見にきていた。
1度目の約束の後、彼女を傷つけ約束は果たせなかった。
そして2度目の約束の後、彼女はいなくなってしまった。
「やっと連れてこれた……。きれいだな……」
そう言って隣に微笑みかける。すると隣の彼女も嬉しそうに笑った。
手を伸ばし嬉しそうなその頬を撫でると、写真の中の香澄は照れたように笑った気がした。
桜舞い散る中、諭は日が暮れるまで香澄との最初で最後の花見を楽しんだ。
《ポケットsecond・完》
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