あれから……

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テーブルには三人分の食事。そして三つのグラス。 二つのグラスにはアルコール入りの炭酸水。そして残りのグラスにはアルコールなしの甘い炭酸水が注がれる。 ひかりは自分のグラスに注がれるキラキラした炭酸水に目を輝かせた。 「乾杯」 二人はグラスを持ち上げにっこり笑った。 武史が亡くなってから昨年まで、香澄は武史の誕生日がくるとひかりが寝たあと一人で祝っていた。 《亡くなった人の年は数えてはいけない》 その事を知っていた香澄は決して年は数えず、ただ誕生日を祝うだけにしていた。 しかし、武史の事を打ち明けた今年は、香澄とひかり、二人で祝うことにした。
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