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ー街ー
【人々が行き交うストリートで歌を歌うアリア】
アリア
「♪」
テリー
「………。」
アリア
「♪」
テリー
「………ねぇ」
アリア
「♪……?」
テリー
「なんで、いつも歌ってるの?」
アリア
「え?」
テリー
「あんたの歌なんて、誰も聞いちゃいないのに…。なのになんで、いつも歌ってるの?」
アリア
「…だって……あなたはいつも、わたしの歌を聞いてくれるじゃない」
テリー
「……は……?なに言ってるの?」
アリア
「?」
テリー
「僕が、あんたの歌を?いつも?」
アリア
「うん。あなたはいつもいるよ。わたしの歌を、黙って、そっと隠れて聞いている」
テリー
「なッ…!そんなわけ――」
アリア
「ありがとう。」
テリー
「…~~~ッ」
アリア
「ねぇ、歌ってもいい?」
テリー
「す、好きにすれば!?僕には関係ないし?じゃ!」
【路地裏へ駆けていく】
アリア
「ふふっ… ♪」
テリー
「………。」
【路地裏に隠れてアリアの歌を聞く】
アリア
「♪」
テリー(M)
「本当は、彼女の歌が好きだった。彼女の透き通るような声も、綺麗な音色も、心地よくて不思議な気持ちになる感じも、彼女自身のことも好きだった」
テリー(M)
「彼女はいつからかあそこで歌を歌うようになって、僕もいつからかここで歌を聞くようになった」
テリー(M)
「彼女の歌はとても素敵なのに、誰も足を止めない。それが不思議で堪らなかった。悔しかった。彼女は、こんなにも素敵なのに。こんなにも暖かい歌を歌うのに」
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