1 コロナの朝

3/15
前へ
/49ページ
次へ
長兄というのは損だ・・・とコロナはいつも思う。 水門開きという仕事の為に妹弟より早く叩き起こされ、汗だくで家に戻ったときは 朝食の支度も終わり、 席に着いた妹弟が皿に朝食分と学校へ持っていく昼食分を取り分けて待っている 「兄ちゃんの分」と「親切に」取り分けてくれた皿にはベーコンやハムといった 肉類は心ばかりで代わりに妹弟の嫌いな苦みのある野菜類がどっさり乗せてある 前はこれで喧嘩もしたが結果として学校に遅刻する為、最近は諦めている 「それに・・・」コロナにはまだ別の朝の仕事と、そして別の朝食があるのだ 一同席に着かないと朝食が取れないので 「いただきます」からコロナは素早く皿の半分を腹に収め 半分を紙でくるみ、カバンに詰める。外に出て服を脱ぎ、井戸水を被り 母が用意してくれたタオルで体を拭いて着替えに袖を通し 一応、授業の時間割を確認してカバンをつかみ「行ってきます」 予習復習の習慣など持ち合わせないコロナは 教科書やノートは教室の机に入れたままである だから、弁当さえ持っていけば忘れ物は殆どなかった カバンを投げるように小舟に乗せ、コロナは湖の中心へ船をこぎ出した コロナの朝の仕事は水門開きと、 湖の真ん中にある神殿に住む同級生のフロウを迎えに行く事である image=459525250.jpg
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加