藍色の紆余曲折

23/24
前へ
/283ページ
次へ
「ミコト……?」 物思いに意識を飛ばしていた俺は希花の声に、我に帰った。 「いや、なんでもない……。ところで希花、さっきのは?」 そうだ、こんなことを誰かに言わなくたっていいんだ。 俺は話を変えた。 「ああ、あの光か? あれは神の、魔を討つ技だ。あと、ミコトの怪我を治したのは私の本来の能力だな」 「そうだったのか」 なんだか居づらくなってきた。 長く誰かといるのに慣れていないせいだろう。 「あ、ヤヨ姉が心配するから帰るな?」 「ああ分かった」 「……なあ、俺一人が希花を信じ続けたら、あとどれくらい存在できるんだ?」 「……信じ続ける限りは永遠に」 「そうか。……じゃあな」 「ああ、またなミコト。 あ、そうだ」 「うん?」 「辛ければ、いつでも私の名を呼んでくれ」
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

673人が本棚に入れています
本棚に追加