「れいちゃんどうめいけっせいです」

6/9
前へ
/27ページ
次へ
一月一日、元旦。 旦の下の棒は地平線であり、日の出を表していているとか、いないとか。 でもテトリスならやっぱり縦に使いたい。 でもそうなると旦から旧になってしまい、新年の癖に古い感じになってしまう。まぁ、テトリスじゃないから関係無いんだけどな。 「で、なんだ……」 防寒対策万全の俺は、これまた防寒対策万全の彼女と参拝者の列に並んでいた。 「ずばり神頼みです!」 「こいつ、ぶっちゃけやがった。にしても初詣でか…いつぶりだろうなぁ」 「はい!わたしは新たな恋を、草氏さんは小説のアイディアを神さんに頼んじゃうわけですよ!」 「てか玲ちゃん、テンションおかしな事になってないか?」 「だって、新年ですよ?!ハッピーニューイヤーですよ??!」 「ハッピーになればいいがな」 「暗っ!なんでそんなに悲観的なんですか?おじちゃんは暗いベイビーですか?!」 「こんなビッグな赤ちゃんいてたまるか!またおじちゃんって言ったな!」 「それはきっと天の声です」 「お天道様が認めても俺は絶対認めんぞ」 「強情」 「生意気」 どうやらこの子と俺は磁石のN極とN極の関係にあるらしい。 「いえ、SとSです」「心を読むんじゃねぇ」 「思いっきり声に出してましたよ!」 「そうだったとしてもNとNに変わり無い」 「どうしてです?」 「ノベリスト(N)と生意気(N)」 「うわっ、ひどいです!やっぱり紳士と言う名の変態さんですね!」 「やっぱりってのはなんだ。俺はチキン奢ったり、小説家としての有り難?い話をしてやったと言うのに!」 「あ、次わたし達の番ですよ?」 聞いちゃいねぇ……しかし、なんで俺は今日こいつに付き合っているんだ? 気休めにしかならないだろうが、これを機会に自分を見つめ直すのもいいかもな。それで新たな発見でも出来れば万々歳だ。 ――チャリン……パン、パン 「素敵な恋が出来ますように…」 恋かぁ…… ――ん、恋???
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加