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「つまり、草氏さんは私に恋が何たるかを御教授願おうってわけですね?」
「そんなところだね」
「それじゃ前回あった時とあまり変わらないような気もしますが……」
あの後、押される形で人混みの中から脱出した後、一声。俺は彼女に再びお参りポーズをした。
おたおたしている玲ちゃんに事情を説明すると顔を真っ赤にして、いきなりポカポカと叩いてきた。
そんなバーサーカー玲を宥めるのに一苦労したことか。何故だ。やっぱり最近の若者はキレやすいってのはあながち間違って無いようだ。俺も若者なんだが。
「でもそれには条件があるです」
「条件?」
「はい。私に小説の書き方を教えて下さい」
「書き方ねぇ」
「不満なんですか?」
「どちらかと言うと不安だな。売れてない小説家に聞いても意味無いんじゃないか?」
「いえいえ、そんな事ありませんよ。私は見ての通り才女で文学少女ですから、本はよく読んでいるのです」
「才j……まあ、いいだろう。よし続けようか」
「その中でもですね草氏さんの文章と言いますか、表現と言いますか。とにかく他の人には無い魅力があるんです。
草氏さんは自分の事を卑下しすぎなのですよ!もっと自信を持つべきです!」
小学――中学生に説教された……
「…なんだか失礼な事考えてませんか?」
「いいえそんなことありません」
「棒読みなのはスルーするです。では………はい」
手袋に包まれた小さな手を、小指をすっと出してきた。
「なんだ?」
「約束の儀式です」
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