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途端、玲ちゃんは驚愕の顔を俺に向ける。
「草氏さん、それはネタですよね?ちゃんと日本に住んでいますか?」
「あたぼうよ」
「よかった……。では勿論、バレンタインも知っていますよね?」
「野球監督の――」
「おちょくらないでください!」
「確かあれだ……ええっと、女の子が市販のチョコレートを溶かして固めた物を男の子に渡す日」
「うっわ……驚くってよりも引きます、それ。絶対、世界中の女の子を敵に回しましたよ」
「だって事実だろ?それとも、みんなカカオから栽培して――」
「そんな事ある訳無いじゃないですかっ!それは暗黙のルールですよ!」
「大体、バレンタインって言うのも男性が女性に――」
「あああ!もういいです。草氏さんがモテない理由が今、顕わになりましたから」
「待て、俺は恋をしたことが無いだけで――」
「モテるんですか?」
「……モテません」
「まったく、これだから草氏さんは……私のツンデレサービスも台なしですよ!」
「台なしのチョコを食わせたくせに…」
むむむ……出会いの数に比例して、口論も増える。
やっぱり俺達は啀み合う宿命にでもあるのだろうか?
「はぁ……言い合っていても仕方ありませんね。
そろそろ、始めましょうか」
「始めるって?何を?」
「何って、初めての共同作業ですよ!」
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