これだからおとこってやつは

4/9
前へ
/27ページ
次へ
「ああん、もう。そっちじゃありません……」 「え、違うのか?」 「やり直しですよ」 「くそ、難しいな。じゃあ……こっちか?」 「あっ……!そ、そうです!そっちです!きちんと入りましたよ!」 「入ったのか???うっわ、さらにキツキツだぞ」 「そういうものですよ」 「ふうん」 「じゃあ後は任せるんで草氏さんの好きにしてください」 「よしきた」 ――数十分後―― 「玲、玲ちゃん!ヒロインが、し、死んだ!」 「ふぇ……?あぁ、それはBADENDですね。――ってどうしてあそこからこんな展開になっちゃうんですか?!」 「わからん。思ったままに進んでいったらこうなった」 「恋愛と言う思考回路が存在していないんじゃないですか」 また叱られる。 いい歳の青少年(ここ重要)が大人か子供か分からない中途半端な女の子に。 俺は玲ちゃんが持参した恋愛シミュレーションゲームを机に置く。 「我ながら酷い言われ様だな。なんだか照れるよ」 「私は貶しているのに……草氏さんは変態ですか!マゾなんですかっ?!」 「いや、小説家にとって変人扱いされるのは光栄な事だから」 「それは草氏さんだけじゃないんですか?」 「そんなことはない。小説家なんて大抵そんなもんだ。変人・変態・奇人ばかりなんだぜ? いや、そんな人しかいないと言った方が適当かな」 「ふーん、そんなものなんですかねぇー……」 「それよりもさ、「てきとう」って言葉どう思う?」 「どうって……」 「使い方や状況、言い方も関係するかもな……環境が変われば全然違う意味になるんだぜ? そんな複雑な言語を俺達は瞬時に理解出来る。 リテラシーとまではいかないがそれって凄くないか? そんな言葉を使える俺達って幸せじゃないか??言葉って楽しくないかっ?!」 「ち、ち、ちょっと草氏さん!スイッチ入っちゃってるです!」 「そんな言葉の魅力を伝えるために俺は小説書いてるんだろうなぁ……」 「でもわからなくも無いですよ、その考え。 だから私は本が好きで小説家に憧れているんですねー」 「ん、そうか」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加