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「ああん、もう。そっちじゃありません……」
「え、違うのか?」
「やり直しですよ」
「くそ、難しいな。じゃあ……こっちか?」
「あっ……!そ、そうです!そっちです!きちんと入りましたよ!」
「入ったのか???うっわ、さらにキツキツだぞ」
「そういうものですよ」
「ふうん」
「じゃあ後は任せるんで草氏さんの好きにしてください」
「よしきた」
――数十分後――
「玲、玲ちゃん!ヒロインが、し、死んだ!」
「ふぇ……?あぁ、それはBADENDですね。――ってどうしてあそこからこんな展開になっちゃうんですか?!」
「わからん。思ったままに進んでいったらこうなった」
「恋愛と言う思考回路が存在していないんじゃないですか」
また叱られる。
いい歳の青少年(ここ重要)が大人か子供か分からない中途半端な女の子に。
俺は玲ちゃんが持参した恋愛シミュレーションゲームを机に置く。
「我ながら酷い言われ様だな。なんだか照れるよ」
「私は貶しているのに……草氏さんは変態ですか!マゾなんですかっ?!」
「いや、小説家にとって変人扱いされるのは光栄な事だから」
「それは草氏さんだけじゃないんですか?」
「そんなことはない。小説家なんて大抵そんなもんだ。変人・変態・奇人ばかりなんだぜ?
いや、そんな人しかいないと言った方が適当かな」
「ふーん、そんなものなんですかねぇー……」
「それよりもさ、「てきとう」って言葉どう思う?」
「どうって……」
「使い方や状況、言い方も関係するかもな……環境が変われば全然違う意味になるんだぜ?
そんな複雑な言語を俺達は瞬時に理解出来る。
リテラシーとまではいかないがそれって凄くないか?
そんな言葉を使える俺達って幸せじゃないか??言葉って楽しくないかっ?!」
「ち、ち、ちょっと草氏さん!スイッチ入っちゃってるです!」
「そんな言葉の魅力を伝えるために俺は小説書いてるんだろうなぁ……」
「でもわからなくも無いですよ、その考え。
だから私は本が好きで小説家に憧れているんですねー」
「ん、そうか」
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