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ゲームを一通り終え、コーヒーを啜る。
「次は玲ちゃんの番だな。それでちゃんと書いてきたの?」
「もちろんです!私を誰だとお思いですか?」
ふふんと鼻を鳴らし、無い胸を張る。鞄をゴソゴソと音を立て、数枚の原稿用紙を取り出した。
「ほら、どうですか?完璧でしょう?」
「・・・」
テーブルに置かれた、三枚で綴られた短編小説を手に取る。
タイトルは――「美少女探偵レイちゃんの華麗なる日々」か。
「なぁ、題名どうにかならなかったのか?」
「いいでしょう。タイトルだけで2時間掛かったですよ!」
「まぁいいか……にしても初っ端推理モノか。チャレンジャーだな」
「えっ?何を言っているんです?推理なんてありませんよ?」
「ん?だって探偵って――」
「ちゃんと中身を見るですよ」
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「ぶっはははははは!!!」
「な、何で笑うんですか!映画化したら全米No1間違い無しの心癒されるハートフルな超大作なんですよ?!」
「ひー、ひー!」
「お腹を抱えなーい!!!」
「お、お前才能あるかもな……ギャグ専門のシナリオライターとか」
「むー!」
涙目になった玲ちゃんがドンドンと机を叩くと、振動でコーヒーが少し零れた。
「わかった、わかったから!そのための連合なんだろ?」
「……同盟ですぅ」
周りの席からの批難がヒソヒソと耳に届く。
「て、店員さん!
この子にダブルチョコレートとオールドファッションを一個づつ!」
「……そんな古臭いドーナツはいいです」
「古臭っ……!」
俺に呼ばれてトコトコと足音が聴こえそうな調子で駆け寄ってきた店員さんは玲ちゃんの心ないに一言に小さく悲鳴を上げ、涙をボロボロ流しはじめる。
「そ、それは俺が食べます!大好きなんですよ!あはははは。
この子にはフレンチクルーラーとポン・デ・ショコラを頼みます!」
「ううぅ、かしこまりましたぁ」
そう簡単に泣くなよ……女はこれだから苦手なんだ。
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