「おじちゃんだあれ」

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「パラパラパラ…」 誰かが云った―― 雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう、と。 それが聖夜。奇跡が現実へと変わる日。 もしそれが本当ならば一度くらいは目にして見たい。 と言うか、実際に変えてもらいたいもんだね。 目の前には赤と白のコスプレで身を包んだおねえちゃんやいい歳のオッサンが堂々と街を徘徊している。 オッサンはともかく、おねえちゃんは露出多過ぎだろ。 街で凍死なんて洒落になりませんよ? にしてもシュールだ。すごくシュールだ、傘ンタクロース。 まぁ、こんなくだらないことを考えていても時間はしっかり進んでくれる。 彼らにとって雪でも降ればこの時間はさらに特別な思い出へと昇華されるのだろう。 しかし、今日は雨。まごうことなき雨。 でも残念なんて考えない。 むしろ喜ばしいもんだ、ざまあみろ。 ……我ながら荒んでいるなぁ。 「「はぁ……」」 「ん?」 不意に重なった俺とは違う別の溜め息。 首を右に90度回転させてみると、一人の少女が制服のまま俺の隣に立っていた。いや、そこは存在していたと言った方が適切なのか? なぜなら彼女も俺のような―― 「なんですか?おじちゃん。わたしの顔に何かついてますか?」 「おじちゃん言うな。これでもまだ20代だ」 「それは嘘です。人は見た目が9割なんですよ!出会い頭に人を騙す人なんて信じられません!」 「おいお嬢ちゃん。何、人が嘘つきみたいなことを前提で喋ってんだ」 「……被害妄想です」 「大体小学生がこんな時間まで彷徨いてちゃいけないんだぞ?」 「小学生じゃないです!中学生ですよ!しかも三年生です!」 「そ、そうなのか?」 「まったく、レディを見た目で判断するなんて……」 「…………知ってるか?人は見た目が9割なんだぜ?」 「むぅ、嘘つきおじちゃんの癖に生意気です」 「おじちゃん言うなって――あれ?中三ってことは15、6だろ?十分アウトじゃないか!」 「ゆ、誘導尋問です!大人はやっぱり卑怯です!」 「それこそ被害妄想だ!」 …………なんだこのガキは? 「「はぁ…………」」
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