「れいちゃんどうめいけっせいです」

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「作家の草氏さんは尊敬はしています。でもおじちゃんの草氏さんは別です」 「複雑だな、中学生」 「小説家程じゃありませんよ」 チキンを食べ終わるとストローで並々入っているコーラをチューと半分近くまで吸った。 「で、誘っておいてなんだが玲って言ったか?こんな時間までいいのか?親とか心配してるんじゃないか?」 「……」 「おい――」 「……玲ちゃんです」 「――は?」 「わたしもおじちゃんを草氏さんと呼んでいるんです。おじちゃんも玲ちゃんと呼ぶべきです」 「今、おじちゃんって言ったよな?!まぁいいや……で、どうなんだ?」 「……家は大丈夫です。両親は大雑把な人達ですから」 「そうか……」 「わたし、今日失恋したんです」 「へ、へえ……」 俺にそんな難しい問題ぶつけるんじゃないよ。どんな反応すりゃいいんだ。 「慰めの一言くらい無いんですか?デリバリーの無い人ですね!」 デリバリー? バリバリやってるじゃないか。今日はクリスマスだぞ。 「それを言うならデリカシーだろう。語彙力の無さは小説家にとって致命的だぞ」 「むぅ、やっぱりおじちゃんは生意気です」 「どっちが生意気だ」 「そういうおじ――草氏さんは何かあったんですか?」
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