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彼が、倒れていく様を、なすすべもなく睨みつける。私はただの石像だった。 運命。これが、運命。彼に諦めを与え、感情を奪ったそれは、確かに私たちの周りに纏わりついていて、渦潮のように捕えて離さないものだった。彼は、絶望さえしていなかったのだ。
「そんな……。こんな、ことって……。」
私の唱えた言霊は、瞬間のうちに虚空へと還った。意味さえ初めから虚ろなそれは、彼に届きさえしなかった。いや、届いていたとしても、それはさらに意味のないことで、きっとそれは、ただ彼に跳ね返って帰ってくるだけだったのだろう。なら、虚空に還ったところで何も変わらない。
一体、これは何回目になるのだろうか。私は、何度、彼を救えなかったのだろうか。いや、私は、何度、彼を救えないという事実を悟ったのだろうか。
彼の死を以って世界は終わり、繰り返す。世界は彼の死を望み、生きることを強いる。それはなんて惨酷な矛盾だろうか。
嗚呼、願わくは、次はせめて彼の安らぎとなることを望もう。この繰り返しの終焉を望むなんてことは、今の私にはできない。
――そして、私の意識は、
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