黒紫

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今日もいつもと同じ様に。 晩飯食って、風呂入って、ヨコには普通の食べもんだけじゃ栄養足りひんから赤ワイン飲んで。 そしていつもの様にベッドに潜り込んで。 せやけど普段と違って寝室のストーブの自動設定がオフになってたみたいやから火の気がなく異常に寒い。 それでも喉の乾燥を防ぐためストーブを点けずに寝ることに。 「ヒナ…寝たか?」 「…寝た」 「起きとるやん」 寒すぎて寝れる気がせえへん。 小さく付いた溜め息も真っ白、こんな部屋で寝られるわけないやろ。 「息白ぉなる部屋で寝れるかアホ」 「…ヒナ、こっち向け」 背中合わせだったのをもぞもぞ動いて向きを変える。 向かい合わせの状態。 「…」 「…」 「…」 「…」 「いい加減話せや」 話した瞬間に唇を噛み付かれるようにキスされた。 冷えきっている唇と絡まる熱い舌の温度差にクラクラしてくる。 「も、よこ、離せって」 息苦しくなったので胸元を押す。 「いきなりなんやねん」 「…お前の」 「なんやねん」 「お前の吐く息の白さを誰にも見せたない」 「……はい?」 「お前の目も、鼻も、声も、息も全部俺のもんや」 「…横瀬さんは一体何言っとるん?」 耳まで真っ赤にするなら言わんかったらいいんに。 「…まっ…やろ」 「なんやねん」 小声でボソボソ呟きよって、聞きとれへんやん。 「だから、この言葉聞いて熱くなったやろって言ってん!!」 今の発言聞いて明らかに顔が赤くなる感じがした。 「横瀬さん」 「なんじゃい」 「今のは寒いです」 「嘘や!!」 絶対素直には言うたらんけど。 (お前覚悟せぇよ!!) (ちょ、どこ触っとんねん!!) (熱い夜にしような、正夜) (本間耳噛むんやめぇや!!) ━━━━━━━ 黒…吸血鬼、紫…狼男
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