黒紫

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こんばんワンツー、付き合いは長いが一応新婚さんの横瀬夜ですけども。 今日は朝からドラマがあったので一足先に家から出てきました。 勿論寝てるヒナちゃんからこっそり行ってきますのチューは貰ってきたけどな!! 長かった撮影を終えて帰ってきました。 「ただいま」 …返事がありませんねぇ。 中に入って見ましょうか。 リビングを覗くと膝を抱えてソファーに座ってるヒナ。 耳を凝らさなくても聞こえるヒナの鼻を啜る音。 そう言えば「マルから泣ける映画借りたん」って言っとったな。 俺はまだ気付いていないヒナの背後に回り込んでギュッと抱き締めてみた。 「ギャッ!!」 …可愛げ無いなぁ、普段のヒナに求めるのが無理やったか。 「ヒナただいま」 「…お帰り」 うるうる目のまま後ろ振り向いてこっち見るヒナ。 「ヒナちゃん……取り敢えず鼻だけでも拭いてくれ」 ぐじゅぐじゅ過ぎて人前に出せん顔やったから、うん。 近くにあったティッシュで鼻摘まんでかませたら可愛いヒナちゃんに元通り。 気を取り直しもう一回 「ただいま」 「ヨコしつこい」 そう言って俺の腕から抜け出したヒナ、 「ほぇ?」 をもう一度腕の中にしまい込んだ。 「なにすんねんヨコ!!」 「今俺のことなんって呼んだ?」 「何って…ヨコやけど」 「仮にも俺ら新婚やろ」 「本当に仮にもやけどな」 「新婚ってことは夫婦やろ」 「まぁ、せやな」 「なら名字で呼ぶなや!!」 「……はい?」 ヒナが呆れた目で俺を見てくる。こんなんじゃめげへんけどな!! 「ヒナやって横瀬やん!!横瀬正夜やろ!!」 「まぁ、…一応そうなるわな」 「そんならお前もヨコやろ!!」 「でも村越正夜のままで働いとるし」 「それは変えるとややこしくなるからやろ!!」 「…夜ちん」 「何で芸名やねん!!しかもマルの呼び方やし!!」 「…皇」 「…そんでええねん。正夜」 耳元で囁いてほっぺにキスしてみた。 「なんやこそばいなぁ、正夜って呼ばれるん」 「ええやろ新婚なんやから」 「ふはっ、メンバーの前とかで絶対言わへんセリフやな」 二人で顔を見合せ笑いあい、そしてどちらともなくキスをした。 ──────── .
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