犬と猫と俺とお前

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営業終わりの直帰。 営業のパートナー兼マンションの隣室のヒナと一緒に向かう。 「あれなんや?」 ヒナの指差す先にあったんは段ボールやった。 近付いて見れば中に黒い生き物が二匹丸まっとる。 「犬と猫?」 尻尾の形も耳もちゃう二匹。 ヒナの言う通りやろな。 見ていれば黒猫がじっとこちらを見つめてきた。 「お前ら捨てられたん?」 「うにゃ」 話し掛ければ返事を返すように鳴く。 手を出して撫でれば目を細める黒猫。 「ヒナも触るか?」 黒猫を抱き抱えヒナに近付ける。 恐る恐る手を伸ばし頭を撫でる。 「にゃ」 ヒナの手を拒むことなく受け入れる、むしろなついている? 「くすぐったいわ」 手をペロペロと舐めている黒猫。 様子を微笑ましく見詰めていれば足元を引っ張られる感覚がして見ればズボンの裾を黒犬に引っ張られとった。 「ヒナ、持っててな」 「うぁ、」 おっかなびっくりしとるヒナに黒猫を渡して黒犬を抱き上げる。 「わう」 小さく鳴けば顔をぐりぐりと押し付けてくる。 …寂しかったんかな? 「ヒナ、」 「ん?」 「こいつら育てへん?」 黒犬を撫でながらヒナにきく。 「…ええよ」 「にゃあ」 「わん」 嬉しそうに二匹が鳴けばおれらも顔を見合わせクスクス笑った。 「飼い方知らんからヨコんち行くわ」 「おー、なら飯作れよ」 「ん、分かったわ」 「なら、朝飯もお前作るんやから泊まってけわ」 「また一緒のベッド?」 「…文句あんなら帰れや」 「ないって」 なんて端から聞いたらいかにも付き合っている恋人同士のような話をしながら家に向かった… .
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