報道

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「…甘い」 俺は甘いものが得意ではない。しかし何故か今こうしてキッチンに立ちチョコレートを作っている。 すべての原因はあいつなんだ。 ―――――――――――――――――――――――――― 「しげー、一緒に帰ろう?」 「おう」 授業が終わり何時もの様にあいつと下校していた。 「ねぇ、もうすぐバレンタインだね」 「ん…だな」 「甘いもの嫌いなしげにはめんどくさいだけかもね」 「まーな、お返しとか考えないとな」 「やっぱりもてる男はつらいですなー」 「…そういうお前こそ俺よりもいっぱいもらうくせに」 「なに、しげ!嫉妬してんの?」 「そ、そんなんじゃねぇだろ!」 「照れてるしげ可愛いー」 「おま、こんなとこで抱き着くな!」 「じゃあ、しげの家ならいい?」 「…いいよ」 「やったー!」 「いくら俺が一人暮らしだからってあんまり騒ぐなよ」 「勿論わかってるよ。にしてもさ」 「ん?」 「チョコレート、いくらいっぱい貰ったってしげから貰うのが一番うれしいんだけどね」 「俺の?」 「もしかしてくれないの?」 「じゃあ、チロルチョコな」 「えー…手作りじゃないの?」 「チョコやらねえよ」 「うそうそ、しげから貰えるならなんでも嬉しいから、ね!」 「バレンタインに、な」
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