第2章 その1

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夕食が、出来上がり広間に運ぶ。 「…結構重いな…」 お膳を重ねて運ぶ。ゆっくり運んでいると、後ろから声がした。 「重そうだね、手伝ってやるよ」 「あ!ありがとうございます」 そっと振り返ると、そこにいたのは藤堂さん。ひょいっと、横からお膳をとった。 「希さん、ほそっこいのに頑張るなぁ」 「そんなことないです」 「忙しいときは言ってね。手伝うからさ」 廊下を並んで移動、歩きながら藤堂さんが聞いてきた。 「なあ希さん、希さんには兄貴はいないの?」 え?どこかで聞いたような質問… 「いません…」 「…そっか、ならいいや」 そんな会話をしていると、にやにや笑い顔の沖田さんに遭遇。 「何してんですか?平助。優しいですね~どういう風の吹き回しですか?」 「大変そうだったから手伝ってるだけだ!」 「本当にそれだけ?真っ赤ですよ~。希さん、平助に気を付けて♪」 「総司ー!!」 あははっと笑いながら、広間へ入って行った。 「希さんっ!総司が言ったことは気にしなくていいから!全く…」 「えっと…はい」 ため息をつきながら藤堂さんが言った。 お膳を並べ終えて、いつものようにお櫃の前にスタンバイ。近藤さんが最後に入ってきて… 「いただきます!」 掛け声で食事開始。始まって早々、 「オーガーワディーッ!」 口にいっぱい食べ物を詰めた原田さんがお茶碗を掲げる。 「…はい」 子どもだよ…子ども。 「汚いっ!口の中のもん飲み込んでからにしろっ」 相変わらず、厳しい永倉さん。ごもっともな意見でございます。
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