その4

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「ただ今戻りましたぁ」 新徳寺、お使いから戻るともう1人の女中富さんと坊さんらで夕食の準備が終わりかけていた。 「遅かったですねぇ、何かありましたか?」 富さんから聞かれる。 …あった、久々怒った。 「まぁ、ちょっと買い物に手間がかかって…」 「夕食の準備はそろそろ終わるし。なんや、すぐには召し上がらないみたいやし、今夜は遅うまでかかりそうやから、今のうち少し休んでもろてええよ」 「本当すみません」 「ええんよ」 「じゃあ、お言葉に甘えて…ってお使いの報告してこないと…はぁー」 一応、お茶を持って、やつのところに移動する。 「戻りましたー」 「遅かったな、入れ」 「お茶です、どうぞ」 「お前にしては、気が利くな」 …むかつく。 「ありがとうございます。あ、紙買ってきました」 差し出すと、 「最初からこれを買ってこればよかったんだ」 ですって。じゃあ言えよって話だし! 「はぁ、それでは失礼しま「まて、仕事がひと段落したんだ、話し相手にでもなれ」 出て行こうとしたところを、引き留められた。話すことないんですけど…。 「なぜこんなに遅かったんだ?」 結局、ここから出してもらえず、話をすることになる。話す時間があるんなら夕食食べてほしい…片付かない。 まあ、言えるわけもなく…。 それよりも、遅れた理由を聞かれ…怒りがぶり返してくる。 「聞いてくださいっ!実はですね…」
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