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泊まり込んで、1週間、今日は大きな会合があるそうで。いつも以上に大忙し!
「椿さん、今日まで頑張ってください。明日から2~3日休んでもろていいですから」
住職の言葉で…頑張って働いております。八木家から出ずっぱり、しかも明け方から遅くまで働きづめ…。
『本職よりも…過酷だ…』
壊されたりとられたりする可能性があるものは、すべて蔵に直しこみ、部屋を殺風景な状態へ変化させる。
「とにかく、200くらいの人が来るらしいんよ、大したもんはださんでいいって言われとるし、ぱぱっと作ってしまいましょ」
富さんと大量にご飯を炊き、おにぎりを作っていく。…腱鞘炎になるかってくらい握った。
「ふぅーっ」
ひと段落して、お茶などを飲んでいると本堂から争う声が聞こえてくる。
「もう始まってるんですね」
「そうみたい。なんや、喧嘩でもあっとるんかいね?」
***********
話し合いも終わったようで、ぞろぞろと男たちが帰っていく。この中に、新撰組の面々もいるのよね…。
様子をうかがっていると、
「椿はん、これを広間に持って行って」
富さんから呼ばれた。
「はーい」
お茶だった。
「失礼します」
「お、椿か。入れ」
清川さんが入室を促す。
「お茶をお持ちしました」
清川さん以外にも数名いた。それぞれにお茶を配っていると、
「全く…何を考えているかわからん」
清川さんふぅーっと息をはいていた。
「それでは…失礼します」
「うん、今晩はここにおる者たちの夕餉はいらん」
「あー、伝えておきますね」
もうすぐ、私は帰るし。
「お前が作るんじゃないのか?」
「今日から数日、家に帰るんです」
「…そうか。世話になったな」
「…?はぁ。それではまた」
そう言って、頭を下げ部屋を出た。
これが、清川八郎と交わした最後の会話となった。
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