第2章 その1

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一階に降りると、 「やっと来たか椿、希!」 芹沢さんがそう声をかけてくる。 「待ってたぞ」 っと近藤さんが片手を上げる。 「こんな騒がれたら、眠れないですよ。まったく」 少し膨れて椿姉が告げると、 「はははっ、すまんすまん。ほらっ」 2人は笑い、芹沢さんがお猪口を渡してきた。 「いただきまーす♪」 椿姉…やっぱり飲みたかっただけじゃない…はぁ。 「希も飲むか?」 「い、いいえ!お酒はちょっと…」 「この子の分は私が飲みます。わーい」 すかさず2杯目を口にしている。 ほとんどの人たちが出来上がっている。部屋は散らかり、誰かがお酒をこぼしたのか…畳が湿ってる。 明日は…大掃除からスタートか…。 そんなことを思っていると、椿姉と話していた芹沢さんが、 「そうだ。椿、希。お前たちに聞きたいことがある。兄か弟はおらんのか?」 聞き覚えのある質問を投げかける。またそれ??何なんだろう。椿姉が否定する。 「歳が希さんに聞いたんですが、違うみたいですよ」 すかさず近藤さんが言う。 「みんなに同じ質問されるんですが…、誰と似てるんですか?」 誰のこと言ってるんだろう…私と椿姉さえも似てないのに…。 「えーっと、それが…」 芹沢さんがそう言いかけたと同時に、後ろの襖があいた。
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