第2章 その1

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手をギュッと握られた。 「なぜか…気になるんだ…希さんのこと」 「え?」 沖田さんはそのまま頭を私の肩にゆだねてきた。 「!!!」 体が、カチコチに固まり鼓動がドキドキと早くなる。 どういうこと?どういうこと? しばらくその体制のまま動けずにいると… 「…スー、スー」 規則正しい呼吸が聞こえてきた。…寝てる?そーっと肩の方を見る。 「!」 閉じられた瞼が見えた。握られた手もホカホカ暖かい。 「寝てる…」 ふーっと息を吐き、高鳴りをおさめる。しばらく経つと夜が明け始めた。 まだ、3月。外で寝るのは冷える。だけど、沖田さんの手のぬくもりに導かれて… いつの間にか眠ってしまった。
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