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「いちいち噛み付くのはアカンでリツ?
ウチらは組織や。上司には上司の都合ってもんがあるんやで。
下の都合押し付けへんで、自分が与えられた仕事してればそれでええやんか。
ワイらは特殊組織に属する戦闘員なんや。
それに見合う給料貰ってるんやから、文句言わずにテキパキ働いとき」
変わらず悪態をつくリツを宥める少女。
彼女は螢谷クリス。
深崎ヤイバの知る人間で、二人目の関西弁で喋る人物だ。
アメリカ人ぽい名前だが、これでも立派な日本人だ。
しかし、彼女の介入もまた気に喰わないのか、リツの悪態は続く。
「ち…年中金の事しか考えてない金の亡者が何、一人前に説教こいてやがる。
金だけで世の中回ってると思ってんじゃねえぞ。金より大事なもんはいくらでもあるだろうが?
それを『金貰えるから黙ってろ』なんて人間の言葉じゃねえよ守銭奴」
「はっ、笑わせてくれるわクソガキ。
良くまあウチを守銭奴ゆーたな?
守銭奴のつもりはあらへんけど、アンタみたいな阿呆は何言っても聞きやせんやろ?
なら、アンタにとってウチは守銭奴でええわ。
――でもな。金より大事なモン…大体は友情、恋愛。
それを守るのは?維持するために必要なモンはなんや?
友達付き合いするにも、一緒に遊んだりご飯食べたりするために必要なモンは?まさか本当に友情で繋がった友達なら毎回使う金くらい出してもらえるなんて思ってせえへんやろな?
恋人付き合いだってそうや、大抵は男の出費になるけど、女だって出す時は出すんやで。
まして、子供が出来たら育児にも金が掛かるんやで?そうやって現実見ないまま勢い任せで作った親が、育児に苦しむんや。
分かるか?誰も金が一番やなんて思うてへん。大事なモンを守る為に金が必要なんや。
…ああ、戯言だと思って聞き流してかまわへんよ。アンタはその狭い視野で一生金を軽視して生きてればええ」
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