部下たち

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一見正論をかましているように見えるが、その実、クリスは真性の守銭奴だ。 まず隊長としてヤイバが多少のコミュニケーションは必要だと考えて食事に誘った時には、その全てを奢らされた。 任務以外の時間でも、自分が貰える金額がいくらかいつも計算し、悦に入っている。 任務の時間となれば、今回の任務でいくら給料が上乗せされるのかと言ってニヤニヤしている始末。 しかし、その分、組織としての在り方を熟知しているのでリツと比べればまだ扱い易い部類と云える。 「…良く言うぜ」 それだけ吐き捨てて、リツは黙った。 クリスが実際に守銭奴ではないとはいえ、言い返せるだけの語畳力が無ければ黙るしか無いのだろう。 これは良くないなと、隊の協調性に一応は気を揉むヤイバだったが、何より反感を持たれている自分が口を挟むべき事では無いため、結局ヤイバも黙るのみ。 「ねえ、それより早くミーティングの続きして下さいよ! 待ってるのとか、ジッとしてるの苦手なんです!」 そしてこちらのおさげの少女が鳥川スイ。 特に問題のない性格だが、とにかくせっかちな少女だ。 学校では元陸上部のエースだったらしいが、能力発現によって陸上の大会に出られなくなった悲しい過去の持ち主らしいが、そんな悲壮感は微塵も感じさせない。 というか、単純に走る事のみならず、何事に於いても停滞しているのが苦手らしく、過去を振り返るのもまた時間の無駄と捉えているらしい。 そういった意味では人間的に優秀だが、組織として扱うには『待て』が出来ない扱い人物の1人と云える。 「…」 そして、個性豊かな面々が好き勝手騒いでいる中、1人だけ黙り込んでいる、女のように肩まで伸びた黒髪と整った顔立ちの少年が、葉路レン。 人物としては扱いに困らない任務に忠実な人物で、特筆すべき点などは無いが、彼の境遇はこの場の全員を差し引いても群を抜いた奇抜な境遇の持ち主だ。 何故なら、彼は先祖代々の『忍者』なのだから――
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