クソッタレの世界に唾を吐き棄てるように

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 しかし状況がどうであれ、彼の“やるべきこと”は変わらない。  与えられた標的をぶちのめし、“できれば”生きたまま捕らえる。収集した情報を報告し、隠密に報酬を受け取る。  ちなみに現在の進捗状況は、「与えられた標的をぶちのめし」たところまでだった。  クロワッサンマンは腕時計に目をやった。時計の針は午前4時半を回って、なおも休まず時間を刻み続けている。  いい頃だ。さらに都合のいいことには、道路を挟んだ向かい側のタバコ屋の前に公衆電話が置かれている。  クロワッサンマンはまだ往来の少ない車道を足早に渡ると、公衆電話にコインを飲み込ませた。  3回のコールの後一度受話器を下ろし、また再び同じ番号にかける。  これは電話の主が彼であることを示す合図だ。 「やあ、模範的愛国者よ。今日も君の献身的な働きに敬意を払おう」  電話の相手は受話器を取るなり、まくし立てるように言った。これが彼らのお決まりの挨拶だった。  愛国者? ぬかしやがる。  彼はこの決まり文句を聞くたびに、顔をしかめずにはいられなかった。  何度聞いても馬鹿馬鹿しい響きだ。
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