用心棒

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サラが顔を洗ってくると、アーツはポイと帽子を放った。サラは受け取り、いつも通りかぶり直す。 「声が高いし、顔も女だからな。知ってて見たら気づくな。」 「これしか思い付かなかったの。髪は切りたくないんだ。」 ジオが好きだったから。ジオの好きだったヘアスタイルはとどめておきたい。 アーツは椅子から立ち上がると、扉を開けて出ていった。サラも慌ててついていく。 「街の入り口まで送ってやろうか?」 「ううん……まだ回ってみようと思ってる。」 「正気か? さっきオレの言ったこと聞いてたか?」 サラは小さく頷き、でもと続けた。 「探したいの。だから遠慮しとく。」 アーツははぁと大きなため息をついた。
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