用心棒

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しかし、構えようとしたサラの前に、一人の男が現れた。剣を両手に持っている。 「物取りか。させねぇよ。」 「何でぇ、用心棒なんか雇ってんのかよ。」 チンピラの威勢はすぐに消え、ヘラヘラ笑いながら走っていった。度胸がないなら来なければいいのにと思う。 用心棒を雇った覚えはないが、この双剣使いの男にはお世話になった。暴れると面倒になるからありがたい。 「すみません、助けてもらってしまいまして。」 「強いみたいだからな、余計なお節介だったろ。」 双剣を背中にしまうと、男はにかっと笑った。体格のいい武人だ。 「最近じゃ物取りなんかが増えたからな、見回りよ。マルクスってんだ。」 「僕は……アレクです。よろしくお願いします。」 ごめん、アレク。幼馴染みの名前を使ってしまった。
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