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「ねぇ、聞いた?保健室の先生の話!」
ーー朝。
登校してきたあたしに興奮気味に駆け寄ってきて、そんなことを口にしたのはクラスメイトの小春。
ぱっちり二重の大きな瞳が、爛々と輝いている。
「保健室の先生?知らない」
こないだ、前任のメグミ先生が産休に入ったのは知っているけど。
それは全校生徒が知っていることで、今更そんなに騒ぐことじゃないし小春がこんなに興奮してる意味がわからない。
自分の席に座って、机の中に教科書をしまいながら相槌を打つあたしに小春が続けた。
「あのね、今日から新しい先生が来るんだって!」
「……へー」
あまりの興奮ぶりに、どんな話かと思ったら……。
そりゃ、メグミ先生が抜けたんだから代わりの先生が来るのは当たり前でしょ。
何をそんなに騒いでるんだか。
すっかり冷めきった返事をしたあたしに気付いるのか、いないのか。
そんなことはお構いなしの小春が「それでね」とワントーン高い声で続けた。
「その新しい先生が、超イケメンって噂なんだよ!」
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