20人が本棚に入れています
本棚に追加
つまり俺の行動は徒労にすぎない。ならどうして俺はあんな無意味なことをしたのだろう。
イライラする、ムカムカする、目頭が熱くなってくる。わかっている、わかってはいるんだ。
理由は単純、明快、火を見るより明らか。
「…………ちくしょう」
ただ、嫉妬したからである。
「うわぁぁああああぁぁああああああぁぁああああああぁぁあんんんんんんん!!!」
胸に渦巻く感情を抑えきれず、俺は走り出した。先ほどバカみたいなことをした自分を呪う。いつのまにか滝のように涙を流し、鼻水もだらだら垂れ流していた。
泣きながら全力疾走するこの姿、まごうことなき変質者だ。
「ぢぐしょうがああああああああ!!!」
心のダムはすでに決壊し、涙や鼻水となって溢れ出てくる。そこに理性なんてかけらもない。他人の幸せまで妨害した俺の願いはただ一つ。
「かのじょがほしいよおああああああ!!!」
ただそれだけであった。
俺の名前は【相川功一〈アイカワコウイチ〉】、彼女いない歴=年齢、彼女絶賛募集中の高校二年生である。
家まで全力で走る途中、カァーッと、あざ笑うかのように鳴くカラスの声が聞こえた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!