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「もう、さっきからどうしたの」
「!?」
不意に女が携帯をいじるのを止め男の方に顔を向けた。肩までのびたセミロングの髪がふわりと動く。その行動に慌てたのか男は挙動不審に手を動かす。動揺しているのが丸分かりだ。
「あ、いや、何でもない!」
「何でもないことないでしょ、何か言おうとしてたじゃん、どうしたの」
はぐらかそうとする男だが、女はそんなことはお構いなしに
ズイッと
男の方に顔を近づけた、ベンチに片手をつき先ほどより体を男に近づける。
「はっ、いや、大したことじゃないって!さっきから携帯で何してんのかなーって思って!」
「ウソ」
さらに、顔を近づける。二人の間にあった不自然な間が狭まる。
「どうしたの?いつもはもっとハッキリ言うのに、そろそろ帰るの?」
「あ、いやまぁ、暗いからそろそろ帰りたいんだけど、そうじゃなくて……」
あたふたとする男だが女は構わずに少しずつ男に近づいていく、少しずつ、少しずつ。
どうした、何でもないの問答が何度も繰り返されいく内に、両者の間はどんどん狭まり。そしてついにはーー
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