相川功一の人間観

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 しばらくして。男女がいなくなったことに気付いた【俺】は、フリスビーをもった手をゆっくりと下ろした。 「行ったか」  俺の心は凄まじい達成感に満たされていた。フリスビーでほどよく汗を流し、夜風が心地よく感じているるのが理由の一つ。だがそよりも、カップルができるのを阻止したという事実に、心を昂ぶらせているのだ。 「はーっはっはっはっは!!!!ざまみろあの腐れカップル予備軍どもめ!!!!」  この公園に訪れたのは偶然だった。公園を通って家に帰ろうとしていた途中、あの二人がベンチにいたため、通るに通れなかったのだ。  思わず近くの茂みに飛び込み様子を伺っていたのだが、しばらくするとなにやら怪しい雰囲気を漂わせ始める始末。  俺はつい、茂みの中に落ちていた、おそらく近所の子供が忘れたのであろうフリスビーを使って妨害してしまったっのである。手が勝手に動いたんだ。  結果は大成功、悪は滅びた。 「スッキリした!帰るか!」  フリスビーを近くの茂みに投げ捨て、意気揚々と帰路につこうとした、そのとき、 「きゃうっ!!」  茂みの中から、軽い音と共に声が聞こえたのだ。思わぬ声に驚きフリスビーを投げ捨てた茂みを見つめる。しかし目を細めてみるものの、暗がりの奥に人影はなく、林と茂みが広がるだけであった。  何だ今の……誰かいるのか?茂みの奥を見ながら声の正体に頭をめぐらせる、しかし考えてからすぐに、空耳だろうという結論に俺は至った。感情の昂りは時に幻聴を聞かせると言う。あまり気にしなくていいのかもしれない。
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