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カップルなんて、百害あって一理なし。公園から出た俺は、歩きながらにそんなことを思う。
ところ構わずにいちゃつき桃色空間を作られた日には息苦しくて堪らない。まったく周りの目も考えて欲しい。
さらに言えば先ほどの男女、どう見ても学生ではないか。学生の本文は学ぶことなはず、恋なんてものにうつつを抜かすなど言語道断だ、学生の風紀まで俺は守ったのである。
……その通り、正しいことをした、はずだ。
「……くっ」
気付けば、足早になっている自分がいた。胸の中に言いも知れぬ感情が渦巻く。
どうも気分が落ち着かない。
「ちくしょう……ちくしょう……ちくしょう!」
既に日は落ち、薄暗い道を電柱と住宅街の家々から漏れる淡い光だけが照らしていた。見知った道なのに、なぜかいつも以上にもの悲しく感じてしまう。
正しいことをしたはず、なのに気持ちは暗く深い闇に落ちる。
「ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!!」
さらに足を早める。
あぁ、そうだ。
たとえ俺が妨害しても、あいつらはまた別の時別の場所で同じことを繰り返すに違いない。あいつらがカップルになる時期が少し遅くなっただけなのだ。
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