最後に彼女はありがとうと俺に言った

一 始まり

『暇？久しぶりに皆と会わない？』というメールが送られてきたのが一週間前だった。差出人は高校で知り合った俊からだった。
俺はその誘いに乗って、指定された喫茶店にいた。俺はその喫茶店に入り、見知った人を見つけるため、店内を見回した。……見つけた。と、言うよりも、向こうが俺に気付いて手を振ってくれたので、探すまでもなかった。
手を振っていたのは、手島沙奈だった。彼女はスポーツ万能な体育会系で、クラスの女子よりも男子とよく会話していた。動くほうが得意なのか、試験は芳しくない成績を毎回とっていた。俺らの中では、俊に続いて行動派だろう。
沙奈の他に、沙奈の隣でおとなしく座っている森崎綾と、その対面で腕組みをして座っていた萩野優がいた。