最終説 ~決意~

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意識を失った俺は、そのまま保健室に運ばれ、2日間眠り続けたらしい。 あの時、俺が放った攻撃系魔術がどうなったのかが気になった。 とは言え、現実感の無い世界が今となっては、それが真実となっている。 魔術と言う不可思議な事が、現実に起きてる以上は信じざるを得なかった。 そんな風に考えていた俺は、意識を取り戻した。 (まだ頭がクラクラするし…最悪) と、奥の方で微かに声が聞こえた。 《楓、大丈夫かなぁ?》 《魔術の使いすぎで、今は眠っとるだけじゃ》 学園長と瑞樹の声。 何を話してるのか、ここからでは良く聞こえなかった。 だけど、どうやら魔術の使いすぎによるものらしい事が判った。 とことん自分の未熟さに、思い知らされた気がした。 《ガラガラ…》 誰かが入ってきた。 迎えたいところだが、身体が重くて自由に動けなかった。 「楓、大丈夫か?」 まぁいつもの事だなと、つい自分なりに納得してしまう。 「大丈夫…と言いたいが、身体が動かん」 身体が鉛みたいに重く感じた。 魔術を使いすぎれば、こうなるんだなと実感した。 そう言えば授業で、魔術の過度の使いすぎは体力は勿論、精神力をも削るって言ってた事を思い出した。 「あれだけ無茶をすれば、誰でも意識を失うもんじゃい」 (それをアンタが言うか…?) とは言っても、身体が動かないのが何よりの証拠。 言われても仕方ないなと思った。 しかし、あれだけ魔術を放ったのに、かすり傷1つついてない学園長。 全力でやっても、傷1つすらつけられないようじゃ、俺はまだまだヒヨッコって事だな。 (クソッ…) 俺は自分の未熟さに、腹立たしさを感じていた。 いつか学園長をも超える魔術使いになってやると、自分に覚悟を決めた。 その為には身体を治して、また1から特訓し直してからだ。 「楓も無事だったみたいだし、俺はそろそろ帰るわ」 瑞樹はいつもの調子で、一言残して帰って行った。 「なぁ学園長…俺…」 それ以上は言えなかった。 未熟な自分が居る事と、魔術を上手く制御出来ていない自分が憎らしいからだ。 「…強くなりたいかね?」 学園長の言葉…。 俺には、痛いほど胸の奥で響いた。 初めて味わった屈辱。 泣きたいくらいの敗北感。 「ああ…強くなりたい…」 どんな結果になろうと、俺は強くなると言う決意を胸に前へ進む事を誓った―。
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