2説 ~転生~

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今ある現実は、目の前に訳の判らないバケモノに対して、俺は何も出来ないと言う事だけ…。 そして、バケモノが俺の胸に鎌のような腕で突き刺すその瞬間まで、俺は足掻く事も嘆く事すら叶わないのだ。 (あぁ…俺、死んだのか) 呆気なく、そして無様に散った自分の命に、少し後悔が残った気がした。 「おい、かえ…で……楓!」 (呼んでる?誰だ?) 朦朧とする意識。 俺は、自分がどうなっているのかさえ判らない。 そんな状態なのに、そっと目を開けて見る事にした。 「ん…?」 目の前に居たのは瑞樹だった。 瑞樹が、必死に俺の名前を何度も呼んでいた。 「楓…?楓、大丈夫か?!」 俺の頬に何かが落ちてきた。 (水?) いや、違う…。 これは瑞樹が、俺を心配するあまりに流した涙だった。 「瑞樹…何でそんなに泣いてんだよ?」 そんな俺の問いに、瑞樹は泣きながら答えた。 「だってお前、死んだのかと思ったんだぞ!」 何を言ってるんだ? 俺は死んだから、喋って…? (…あれ?) この時、俺は頭の中を整理して、自分の置かれてる状況を見渡した。
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